街でも山でも使える?テルス25をざっくりレビュー
ノースフェイス「Tellus 25」ってどんなザック?
ノースフェイスの「Tellus 25(テルス25)」は、容量およそ25Lクラスの日帰り登山向けバックパックです。
- 日帰り登山・低山ハイキング
- 高原トレッキング
- 旅行用バックパック
- 通勤・通学リュック
といった用途まで、1つでカバーできるのが大きな特徴です。
登山用ザックらしく、背面には通気性の高い「フリーフロートメッシュパネル」を採用しており、背中とザックの間に空間をつくることで汗ムレをかなり抑えてくれます。背中側には「スパインチャネル」と呼ばれる溝が通っていて、背骨のラインに沿って空気が抜けやすい構造になっているのもポイントです。
収納面では、次のような装備がそろっています。
- 大きく開くU字型のメインコンパートメント(パネルローディング)
- フロントのダブルポケット(裏側にレインカバー内蔵)
- 伸縮性の高いサイドドロップポケット
- スマホが入るサイズのヒップベルトポケット
- PC/タブレットスリーブ兼ハイドレーションスリーブ
サイドドロップポケットには、ずり落ち防止のストレッチウェビングテープが付いていて、ボトルやレインウェアをしっかりホールドできます。フロントのストレッチウェビングには、トレッキングポールやジャケットを一時的に固定することも可能です。
素材はリサイクルナイロン(260D/315Dクラス)を中心に、100Dチェスナイロンや210Dストライプドビーなどを部位ごとに使い分けており、環境への配慮と耐久性のバランスが取られています。ファスナーには撥水加工を採用しつつ、完全防水ではないぶんをレインカバーで補う設計です。
「ガチの縦走用」というよりは、「初めての登山ザックとして、街でも山でも気軽に使える1本」という立ち位置のモデルです。Tellusシリーズ自体が「日帰り〜ライトなトレッキングの定番」として長く展開されてきたラインで、25Lはその中核となるサイズ感といえます。
スペックと価格:容量・重量・サイズ感をチェック
基本スペック
主なスペックは以下のとおりです(モデル年や販売サイトによって若干表記差があります)。
- 容量:22〜26L(表記上は25〜26Lクラス)
- サイズ目安
・H50.5×W30×D18cm
・または H51.5×W23×D19cm といった表記が多い - 重量:およそ910〜970g前後
- 価格:税込22,000円前後(2025年時点の定価クラス)
25Lクラスとしては「軽量すぎず、重すぎない中間的な重さ」というポジションです。競合のグレゴリー「シトロ24」が約800g、ドイター「フューチュラ25」が約900gなので、「平均よりややしっかり目」という印象になります。
背面にEVAフォーム+メッシュのフリーフロート構造を採用し、さらにレインカバーも標準装備していることを考えると、900g台という重量は「通気性と快適性を優先したバランス型」と見るのが自然です。
価格とコスパの見え方
価格は同クラスの中ではやや高めですが、
- 背面メッシュパネル付き
- レインカバー標準装備
- リサイクルナイロン素材採用
- タウンユースも想定したPCスリーブ・自立しやすいボトム形状
といった点まで含めると、定価ベースで大きな割高感はありません。楽天や量販店のセールでは2万円を切ることもあり、その価格帯であれば「通気性と多用途性を備えた定番25L」として、コスパはかなり良い部類に入ります。
どんな人・どんなシーンに向いているザックか
向いている人・使いやすいシーン
テルス25が真価を発揮するのは、次のような人・シーンです。
- これから登山を始めたい初心者
- 日帰り登山がメイン(1,000〜2,000m級の低山・中級山)
- ときどき高原トレッキングや日帰りハイクに行く
- 普段は通勤・通学でも使いたい
- 登山用と街用でザックを分けたくない
- ノースフェイスのデザインが好きで、服装とも合わせたい
背面長の調整機構はありませんが、日本向けモデルとして多くの人にフィットしやすいサイズ感で作られており、「とりあえず1本目」として選びやすいのも魅力です。
相性がよくないケース
逆に、次のような使い方がメインの方には、別モデルのほうが向いています。
- すぐにテント泊縦走をしたい
- 「とにかく軽さ重視(UL志向)」で装備をそろえたい
- クライミングや沢登りなど、特殊なアクティビティが中心
縦走なら同じノースフェイスのTellus 45クラス、UL志向なら700g以下のシンプルなデイパック系、クライミング中心ならギアループやロープ固定機能が豊富なアルパインパックなど、より用途に特化したザックのほうが相性が良いです。
ノースフェイス Tellus 25 の登山レビュー
日帰り登山で実際に使ってみた感想
標高1,000〜1,500mクラスの低山を想定した日帰り登山では、テルス25は非常にバランスの良いザックです。
一般的な日帰り装備として、
- レインウェア上下
- フリースや薄手ダウンなどの防寒着
- 行動食・昼食
- 1Lボトル×1〜2本
- 救急セット・ヘッドライト・地図
- 手袋・帽子・タオル
- 小型カメラ・モバイルバッテリー など
このくらいを詰めていくと、25Lクラスがちょうど8〜9割ほど埋まる容量です。
テルス25はコンプレッションストラップがしっかりしていて、荷物が少なめの日でも荷物をまとめて体に近づけられます。荷物が暴れないのでアップダウンが多い山道でも歩きやすく、初心者でも安心して使えます。
また、ボトム部分はやや広く設計されているため、ザック自体が自立しやすく、パッキング時に床に置いても安定しやすいのも便利なポイントです。
背負い心地とフィット感:フリーフロートメッシュパネルの実力
背負い心地の要となるのが、ノースフェイス独自の「フリーフロートメッシュパネル」です。
- 背中とザックの間に空間をつくる
- EVAフォームとメッシュ素材の組み合わせで、クッション性と通気性を両立
- 背骨のラインに沿って溝(スパインチャネル)があり、ムレにくい構造
ショルダーハーネスも立体的に成形されていて肩のラインに沿いやすく、チェストベルト・ヒップベルトでしっかり体に固定できます。ヒップベルトは「しっかり支えるが、ガチ縦走ザックほどゴツくない」ほどよい厚みで、日帰り装備でも腰に適度に荷重を逃がしてくれます。
日帰り装備で5〜7kg程度を背負う分には、肩の食い込みや腰の痛みはかなり少ない印象です。特に、
- 普通体型〜やや細身の男性
- 身長150〜165cmほどの女性(W Tellus 25=レディースモデル)
あたりだと、かなりフィットしやすいサイズ感になっています。
W Tellus 25はショルダーのカーブや背面長が女性向けに最適化されており、「同じ25Lなのにフィット感が全然違う」という声も多いモデルです。
通気性レビュー:夏の低山で背中のムレはどうか
夏の低山(日中25〜30℃前後)での使用を想定すると、テルス25の通気性はかなり優秀な部類です。
- 背中にべったりくっつかない構造
- メッシュパネル全体で風を通す
- スパインチャネルがあることで、汗が背中全体に広がりにくい
といった構造のおかげで、「Tシャツ1枚で背負っても、汗でぐっしょり」という状態にはなりにくいです。
もちろん、どれだけ通気性がよくても、夏の登山で汗ゼロにはなりません。それでも、
- 一般的なデイパック(街用リュック)と比べるとムレ感は段違い
- 同クラスの通気系ザック(グレゴリー・ドイターなど)と比べても遜色ないレベル
といってよいです。通気性重視のバックパック特集でもしばしば上位に挙げられており、「夏の低山〜高原ハイク」での快適性に関する評価はかなり安定しています。
実際に入る荷物量:日帰り登山装備はどこまで入る?
25Lという容量は、「春〜秋の日帰り登山」にはかなりちょうどいいサイズです。
目安としては、
- 夏の低山:余裕あり(カメラや軽量チェアを追加してもOK)
- 秋〜春の低山:防寒具が増えるぶん、ほぼちょうど満タン
- 冬の軽めの日帰り雪山:かなり工夫してギリギリ。初心者にはおすすめしにくい
雨具・防寒着をスタッフサックで圧縮し、食料や小物はサイドやフロントポケットに振り分ければ、一般的な「登山入門書に載っている日帰り装備一式」は問題なく収まります。さらに、1〜2泊の山小屋泊でも「夏場・荷物をかなり絞る」という条件なら、テルス25でこなしているユーザーもいます。
一方で、
- 本格的な雪山装備
- 子ども連れで荷物が多いファミリー登山
- 山頂でしっかり調理する本格的な山ごはんセット
など、普通より荷物が多くなるシーンでは、25Lではやや手狭に感じることが多いです。そういったスタイルがメインになりそうなら、最初から30〜35Lクラスか、同シリーズの45Lクラスを視野に入れておいたほうが安心です。
収納・ポケットまわりの使い勝手
メインコンパートメント:U字ファスナーは登山で便利か?
テルス25のメインコンパートメントは、いわゆる「パネルローディング」タイプで、上部だけでなくU字に大きく開く構造です。
登山用ザックにはトップローディング(上から突っ込むだけ)のモデルも多くありますが、日帰り登山と街使いの両方を考えると、U字ファスナーには大きなメリットがあります。
- どこに何を入れたか一目でわかる
- ザックの底の荷物にもすぐアクセスできる
- 着替え・タオルなどを整理して入れやすい
特に、旅行や通勤で「書類・PC・着替え・小物」を一緒に入れるシーンでは、パネルローディングの恩恵が大きく、ホテルや職場での荷物整理がラクになります。
一方で、
- ファスナーの数が増えるぶん、故障リスクはゼロではない
- テント泊縦走のように、パンパンに詰め込んで酷使する使い方にはやや不向き
といったデメリットもあります。とはいえ、「日帰り登山用かつ街でも使う」ことを考えると、このU字開口は大きな使いやすさにつながっています。普段づかいと山の両方で頻繁に出し入れする人ほど、恩恵を強く感じやすい構造です。
フロントダブルポケットとレインカバー内蔵
フロントには上下2つのファスナーポケットがあり、ここがテルス25の使い勝手の要といえる部分です。
- 上側ポケット
地図、サングラスケース、ハンドタオル、行動食など、サッと取り出したい小物向き。 - 下側ポケット
手袋や薄手のウインドシェル、マスク類など、多少かさばるもの向き。
このように分けておくと、山行中のストレスがかなり減ります。
フロントダブルポケットの裏には「専用レインカバー」が内蔵されています。
【メリット】
- レインカバーを別途買う必要がなく、結果的にコスパが良い
- 急な雨でも、迷わずすぐに取り出せる
- 収納場所が決まっているので忘れにくい
- パック本体と色を合わせた純正カバーで、フィット感も良好
【デメリット】
- 強風の大雨では、カバーだけでは心もとない場合もある
- レインカバーの出し入れは、ザックを下ろさないとできない
- ポケット裏側のスペースを使っているため、フロントポケットがパンパンだと少し取り出しにくい
「レインカバー内蔵」は初心者にとって大きな安心材料になります。別売りを買い忘れて、当日雨に降られる…といった失敗を防げますし、レインカバー単体で2,000〜3,000円することを考えると、標準装備でこの価格帯に収まっているのはコスパ面での隠れたメリットです。
サイドドロップポケット:ボトル・雨具は取り出しやすい?
テルス25のサイドポケットは、伸縮性のあるメッシュ素材の「大容量ドロップポケット」です。
- 500〜1,000mlクラスのボトル
- 折りたたみ傘
- パッカブルのレインウェア(上)
- トレッキングポールの先端側
などを入れておくのにちょうどいいサイズ感です。
上部には「ストレッチウェビングテープ」が付いていて、ボトルや長物が勝手に飛び出しにくい工夫もされています。
実際の使い勝手としては、
- 片方に飲み物、もう片方に雨具またはウインドシェル
- 歩きながらでも、慣れればボトルを出し入れしやすい
- 深さがあるので、大きめボトルでも安定して収まる
と、かなり優秀です。街使いではペットボトルや折りたたみ傘、旅行ではガイドブックや折りたたみトートなども入れやすく、登山以外でも利便性を感じるシーンが多いポケットです。
ヒップベルト&チェストポケット:スマホや行動食の収納
テルス25には、ヒップベルトポケットとチェストベルトポケットの両方が備わっています。
- ヒップベルトポケット
一般的な6インチクラスまでのスマホや行動食、リップクリーム、コンパスなどを入れるのに便利です。ザックを下ろさずに出し入れできるので、写真を撮る頻度が高い人にも向いています。最近の大型スマホにも、ある程度対応できるサイズ感です。 - チェストベルトポケット
イヤホンケース、飴やジェル、ティッシュなど「とにかくすぐに触りたいもの」を入れるのに便利です。行動食をここに入れておくと、休憩を細かく分けながらエネルギー補給しやすく、バテにくいペース配分に役立ちます。
行動中に「いちいちザックを下ろしたくない」ものを体の前側に集約できるので、登山初心者でも行動がスムーズになりやすい構造です。街使いでも、交通系ICカードやイヤホンなどを入れておくと、改札や乗り換え時のストレス軽減に役立ちます。
ハイドレーション対応:実用性と注意点
テルス25は、内部にハイドレーション用のスリーブ(PCスリーブ兼用)とホースを通す穴があり、ハイドレーションパックに対応しています。
【実用性】
- 歩きながらこまめに水分補給できる
- ボトルを取り出す手間がなく、ペースを崩しにくい
- ザックの中で水が安定し、重心が安定しやすい
【注意点】
- ハイドレーションパックは別売り(CamelBakなど)を購入する必要がある
- 水漏れのリスクがゼロではないため、貴重品の収納場所に注意が必要
- 気温が低いとホース内の水が冷たく、冬場は口をつけるのがつらいこともある
日帰りメインなら、ハイドレーションパック1.5〜2Lとサイドボトル0.5〜1Lを併用するスタイルが、バランスよく使いやすいです。街使いではPCスリーブとして活躍し、休日はそのままハイドレーションスリーブに“役割チェンジ”させられるので、「1本で何役もこなす」というテルス25のコンセプトに合った設計になっています。
テルス25は街使いにも向いているのか?
通勤・通学での使用感:PCスリーブや自立性は役立つ?
テルス25は、街使いもかなり意識して作られているザックです。
- PC/タブレットスリーブとしても使える蛇腹式スリーブ
- ボトムがやや広めで、自立しやすい「セルフスタンディングボトム」
この2点が通勤・通学で特に役立ちます。
- ノートPC(13〜14インチクラス)をクッション付きスリーブに収納
- 書類やファイルをメインに立てて収納
- フロントポケットに筆記具・イヤホン・社員証などをまとめる
といった街仕様にしても、ザックとしての形が崩れにくいです。スリーブはクッション性があり、底付きしにくい設計なので、電車移動や階段移動が多い通勤でも安心感があります。
電車の中やオフィスで床に置いても自立しやすく、「ぐにゃっと倒れて中身がごちゃごちゃになる」というストレスも少ないです。PC・タブレット・書類・ランチボックス・折りたたみ傘といった“通勤フル装備”を入れても、登山用ならではの背面クッションのおかげで背負い心地は快適なままです。
旅行・タウンユースで感じるメリットと気になる点
旅行用バックパックとしてのテルス25には、次のような特徴があります。
【メリット】
- 機内持ち込みサイズとしてちょうどよい
- 着替え+ガジェット+洗面用具+折りたたみ傘程度なら、2泊3日くらいまで対応可能
- レインカバー内蔵で、急なスコールにも対応しやすい
- ノースフェイスらしいデザインで、街着との相性も良い
- サイドポケットにペットボトルや折りたたみ傘を入れておけば、観光中の出し入れもスムーズ
【気になる点】
- 背面メッシュがあるため、完全にスリムな街用リュックと比べると、多少アウトドア感が出る
- ヒップベルトやチェストストラップが、街ではオーバースペックに感じる人もいる
- カラーによってはアウトドア感が強め(黒や濃色は街でもかなり馴染みやすい)
スーツスタイルに合わせたい方にはややゴツく感じるかもしれませんが、オフィスカジュアル〜私服中心であれば、十分街にも溶け込むデザインといえます。アウトドアとタウンの“二刀流”バックパック特集でもテルスシリーズはよくピックアップされており、街・旅行での使い勝手についても評価は高めです。
登山専用ザックとの違い:普段使いとのバランス
いわゆる「登山専用ザック」と比べると、テルス25はかなり日常寄りに振ってあるモデルです。
- U字ファスナーで中身が見やすい(街使い向き)
- PCスリーブ兼ハイドレーションスリーブがある
- 自立しやすいボトム
- デザインがスッキリしていて、街着にも合わせやすい
一方、純粋な登山性能だけで見れば、
- 背面長が固定で、ドイターやオスプレーのような細かい調整機構はない
- 超軽量ではないので、「1gでも軽く」がコンセプトの人には物足りない
- 装備を外付けするギアループ類は必要最低限
といった違いがあります。
「登山もするけど、普段も使いたい」という人には、テルス25のバランス感は非常に魅力的です。逆に「テント泊縦走がメイン」「縦走中に背面長を細かく調整したい」というニーズなら、ドイター・オスプレーやノースフェイスのより大容量モデルのほうが合いやすいでしょう。
初心者の「最初のザック」としてどれくらい優秀?
25Lという容量は登山初心者にちょうどいい?
登山初心者にとって、25Lという容量はかなり「扱いやすい上限」といえます。
- 荷物が入りすぎないので、「持ちすぎ」を防ぎやすい
- パッキングの練習にちょうどよい
- 山中で取り回しがしやすく、岩場や狭いトラバースでも引っかかりにくい
特に、
- 首都圏近郊の低山(日帰り)
- 高速バスや電車で行く日帰り山行
- 山小屋泊はまだ予定していない
といった人にとっては、25Lが「まず間違いないサイズ」といえます。
テルス25はその25L帯の中でも、メイン・フロント・サイド・ヒップベルトとポケットが充実しているので、「どこに何を入れればいいか」が直感的に分かりやすく、パッキングに慣れていない初心者でも整理しやすい構造になっています。
失敗しないサイズ選び:身長・体格との相性
テルス25には背面長の調整機構こそありませんが、全体のサイズ感としては日本人の体格にかなり合わせて作られています(日本展開モデル)。
- 男性:身長およそ165〜180cm
- 女性:身長およそ150〜165cm(レディースモデル W Tellus 25)
このあたりがもっともジャストになりやすいレンジです。
- 170cm・標準体型の男性 → 通常のTellus 25で違和感少なめ
- 155〜160cm・細身の女性 → W Tellus 25がおすすめ
- 180cm以上・がっしり体型 → 肩幅・背面長の点で、もう1サイズ大きいモデルも検討
と考えるとイメージしやすいです。
可能であればショップで一度背負って、
- 腰骨の位置にヒップベルトがしっかり乗るか
- ショルダーの付け根が首に当たらないか
を確認してから購入するのが理想です。テルス25は全国のアウトドアショップや大型量販店での取り扱いも多く、試着しやすいモデルという点でも、初心者に優しい選択肢といえます。
テント泊・縦走には向かない?テルス25でできること・できないこと
テルス25で「できること」と「向いていないこと」を整理すると、次のようになります。
【テルス25でできること】
- 春〜秋の日帰り登山(低山〜中級山)
- 初心者〜中級者のハイキング・トレッキング
- 軽装での1泊2日山小屋泊(夏場・荷物少なめに限定)
- 旅行用バックパック(2〜3泊程度)
- 日常の通勤・通学リュック
【テルス25では厳しいこと】
- フル装備のテント泊登山・縦走
- 厳冬期の雪山登山(本格装備が必要なレベル)
- クライミングギアを大量に持ち運ぶ用途
テント泊や本格縦走を見据えているなら、同じテルスシリーズの45Lクラスにステップアップしたほうが安心です。一方、「まずは日帰り登山や山小屋泊を経験してから、将来テント泊用に大きいザックを買い足す」というステップアップ型の買い方をしたい人にとっては、テルス25は“最初の1本”としてちょうど良いサイズと機能性を備えています。
ノースフェイスらしいデザイン性と「ブランド安心感」
ノースフェイスのザックは、性能面だけでなく「デザイン性」と「ブランドの安心感」も選ばれる理由の一つです。
- ロゴが目立ちすぎない、クリーンなデザイン
- 黒・グレーなど落ち着いたカラーなら、スーツ以外のほとんどの服に合わせやすい
- 街中でも「いかにも山用」になりすぎない
ノースフェイスはアウトドアブランドとしての歴史も長く、登山用品店でも必ずといっていいほど取り扱いがあります。
「どのブランドを選べばいいかよく分からない」「とりあえず失敗はしたくない」という初心者にとって、この“ブランド安心感”は大きな要素です。Tellusシリーズは国内のレビューサイトやランキングでも定番として紹介されることが多く、「日帰りザックで迷ったらとりあえず候補に入れておきたい」レベルのポジションを確立しています。
他ブランドの25Lクラスと比較して見える強み・弱み
グレゴリー・ドイター・マムートとのざっくり比較
25Lクラスでよく比較されるモデルとしては、次のようなものがあります。
- グレゴリー:シトロ24
- ドイター:フューチュラ25
- マムート:リチウム25
それぞれのざっくりした特徴は、
- グレゴリー シトロ24
軽量寄りで背負い心地が良く、フィット感重視。 - ドイター フューチュラ25
背面長調整機構付きで、細かいフィット調整が可能。やや縦走寄り。 - マムート リチウム25
かなり軽量・シンプルで、山歩きに特化した構成。
これに対してテルス25は、
- 通気性の高い背面メッシュ
- レインカバー標準装備
- 街使いを意識した収納・デザイン
といった要素を備えた“オールラウンダー”寄りのポジションにいます。特に「PCスリーブ兼ハイドレーションスリーブ」「自立しやすいボトム」といったタウンユース寄りの装備は、純登山専用ザックではあまり見られないポイントで、テルス25ならではの強みといえます。
重量・価格・機能性から見た「テルス25らしさ」
ざっくり比較すると、以下のようなイメージです(数値はおおよその目安)。
| 項目 | TNF Tellus 25 | グレゴリー シトロ24 | ドイター フューチュラ25 |
|---|---|---|---|
| 容量 | 約25L | 24L | 25L |
| 重量 | 約910g | 約800g | 約900g |
| 価格帯 | 約22,000円 | 約20,000円 | 約25,000円 |
| 特徴 | 通気メッシュ+街使い◎+レインカバー | 軽量・フィット感重視 | 背面調整機構・縦走寄り |
ここから見えてくる「テルス25らしさ」は、
- 重量:超軽量ではないが、十分許容範囲
- 価格:中〜やや高めだが、レインカバー込みなら妥当
- 機能:登山性能と街使い性能のバランスが良い
という点です。
「完全に山だけに振り切る」なら他ブランドに軍配が上がる場面もありますが、「ノースフェイス Tellus 25 登山 レビュー」として見るなら、
- 初心者〜中級者の日帰り登山用として必要な機能は十分
- かつ、街でも旅行でも違和感なく使える
という意味で、かなり優秀な選択肢だといえます。単なる登山ザックではなく、「アウトドアと日常をつなぐ25L」という立ち位置が、テルス25の個性です。
「ノースフェイス Tellus 25 登山 レビュー」としての総評
総合評価のポイント
総評として整理すると、次のような評価が妥当です。
- 日帰り登山用としての性能:◎
容量・通気性・背負い心地・収納力のいずれも高水準。 - 初心者の最初のザックとして:◎
レインカバー内蔵、街でも使えるデザイン、ブランド安心感といった要素がそろっている。 - コスパ:○
同クラスとしてはやや高めだが、レインカバー&多用途性込みなら十分納得できる価格帯。 - テント泊・縦走用として:△
容量不足と調整機能の少なさから、本格縦走用には不向き。
「日帰りメインで、山も街も1本でこなしたい」というニーズに真っ向から応えてくれるモデルであり、25L帯の“万能型リュック”として、今後もしばらく定番ポジションを維持し続けるだろうと考えられます。
向いている人・向いていない人
テルス25がぴったりハマる人
- 登山をこれから始める初心者で、「まずは日帰りから」という人
- 山にも街にも持って行きたい、1本で何役もこなすザックが欲しい人
- 背中のムレが苦手で、通気性の高いザックを探している人
- ノースフェイスのデザインが好きで、服装との相性も重視したい人
- レインカバー別売りのザックは面倒だと感じる人
「休日は山、平日は通勤・通学でPCや書類を運びたい」というライフスタイルの方には、特に相性が良いです。また、「将来的にテント泊も視野に入れているが、まずは日帰りで経験を積みたい」という人にとって、“最初の1本”として非常に無難で失敗しにくい選択肢といえます。
別モデルを選んだほうがいいケース
- いずれすぐにテント泊・縦走をやるつもり
→ 最初から40〜50Lクラスも視野に入れたほうが無難です。 - 「とにかく軽さ命」で、UL装備をそろえたい
→ 700g以下のULデイパックや、よりシンプルなモデルのほうが向いています。 - 岩稜帯メインのバリエーションルートやクライミングが多い
→ ギアループやロープ固定用ストラップが豊富な、クライミング寄りのモデルが便利です。 - スーツに合わせて毎日通勤で使いたい
→ もう少しビジネス寄りのデザインのバックパックのほうが、場面に合いやすいです。
上記のような“尖った用途”がないのであれば、テルス25のようなオールラウンド型は「持て余さず、でも不足も感じにくい」ポジションに収まってくれます。
購入前にチェックしておきたいQ&A
メンズとレディース(W Tellus 25)の違いは?
Q. メンズとレディースモデル(W Tellus 25)は何が違うのですか?
A. 主に以下の点が異なります。
- 背面長:女性の体格に合わせてやや短め
- ショルダーハーネス:女性の肩幅・胸周りに沿いやすいカーブ形状
- ヒップベルト:骨盤の形状に合わせてフィットしやすい形状
- カラー展開:女性に人気のカラーが用意されている場合がある
身長150〜165cm前後の女性は、基本的にはW Tellus 25を選ぶのがおすすめです。男性でもかなり小柄・細身の方なら、Wモデルのほうがフィットしやすいこともあります。どちらのモデルも背面長の細かな調整まではできないため、「自分の身長・体型にどちらが合うか」をショップで実際に背負ってみて判断するのが理想です。
防水性とレインカバー:どこまで雨に耐えられる?
Q. テルス25だけで、どこまで雨に耐えられますか?
A. 生地やファスナーには撥水加工が施されていますが、「完全防水」ではありません。
- 小雨〜にわか雨程度
撥水+短時間なら、レインカバーを使わなくても中までビショ濡れにはなりにくいです。 - 本降り〜大雨
レインカバーを必ず装着したいレベルです。それでも長時間の豪雨では、縫い目や背面側から水が染み込む可能性があります。
貴重品や絶対に濡らせない電子機器は、
- ジップロック
- 防水スタッフサック
などに入れて二重で防水しておくと安心です。レインカバーはフロントポケット裏に固定収納されているので、「どこに入れたっけ?」となりにくいのも雨天時には大きな安心材料です。
何年くらい使える?耐久性と買い替えタイミング
Q. テルス25は何年くらい使えますか?
A. 使い方にもよりますが、「月1回登山+普段づかい少々」程度なら、5年ほどは十分現役で使える耐久性があります。
- 生地:リサイクルナイロンながら、260D/315Dクラスのしっかりした厚み
- 縫製:登山用途に耐えるレベルで、日常使いだけならかなり余裕あり
- 消耗しやすい部分:ファスナー、背面メッシュ、ショルダーハーネスの付け根
買い替えの目安としては、
- ファスナーの滑りが明らかに悪くなった
- 背面メッシュに大きな破れが出てきた
- ショルダーベルトのクッションがヘタり、肩が痛くなりやすい
といった症状が見え始めたタイミングが一つのサインです。
ハードな縦走やクライミングで酷使するより、「日帰り登山+街使い」で使うのであれば、むしろ長持ちしやすいタイプのザックだといえます。旧モデルではファスナー破損などの報告もありましたが、近年のモデルでは耐久性も改善されており、通常使用でのトラブルは比較的少ない印象です。
まとめ:テルス25は「山と街をつなぐ、ちょうどいい1本」
テルス25は、「日帰り登山を中心に、街や旅行でも違和感なく使いたい」というニーズに素直に応えてくれる、バランス感のよい25Lザックです。
- 通気性の高い背面メッシュと、日帰り装備にちょうどいい容量
- U字ファスナーや豊富なポケットで、パッキングしやすい構造
- レインカバー内蔵・PCスリーブ・自立しやすいボトムなど、山と日常をまたぐ仕様
一方で、テント泊縦走や本格雪山まで視野に入れるなら、容量・調整機能の面で別モデルを検討したほうが現実的です。
まずは低山の日帰りから始めたい、山と街を一つのザックでシンプルに楽しみたい——そんな方にとって、テルス25はかなり“ちょうどいい”スタート地点になってくれるはずです。