CROSS RUN PANTは「走らない登山者」にこそ刺さるパンツだった
なぜサロモンのランパンツを、あえて登山で選んだのか
サロモンの「CROSS RUN PANT」は、名前からして完全にランナー向けのパンツです。トレイルランやスピードハイク用という位置づけで、普通に考えれば「走る人のためのパンツ」といえます。
それでもあえて、普段ほとんど走らない「歩く派」の登山で使ってみようと思った一番の理由は、足さばきの良さと軽さに期待したからです。
従来の登山パンツは、安心感のある厚みと耐久性が魅力な一方で、岩稜帯や急登で「もう少し生地が軽くて動きやすければ…」と思う場面が少なくありません。特に、
- 大きな段差を何度もまたぐ岩場
- 三点支持でじわじわ体重移動する岩稜帯
- 夏〜秋の「汗はかくけど風は冷たい」コンディション
こういったシーンでは、いわゆる“ザ・登山パンツ”よりも、軽量なランニング系パンツの方が快適そうだと感じていました。
その中でも、実際に自分が手に取ったのはサロモンのCROSS RUN PANTでした。理由はシンプルで、
- ランニング用ならではの「脚さばき最優先」のパターン
- ロゴを含めたデザインがすっきりしていて街着にも使いやすい
- サロモンのトレイルラン系ギアと組み合わせたときの統一感
このあたりに惹かれたからです。「走らないけど、走れるパンツを登山で履く」という選び方が、自分の山スタイルに合っていそうだと感じました。
購入前に悩んでいたポイント(サイズ感・耐久性・季節適性)
購入前に気になっていたのは、主に次の3点です。
1. サイズ感:細身すぎて動きを妨げないか
ランパンはタイトなシルエットが多く、「太ももがパツパツになって岩場で動きづらいのでは?」という不安がありました。
特に、普段から「ややゆとりのある登山パンツ」に慣れている人ほど、この点は気になると思います。
2. 耐久性:岩や藪にどこまで耐えられるか
「ラン用=軽量=薄めの生地」というイメージがあるため、「岩稜帯でガシガシ使ったら一発で破れないか?」という懸念もありました。
一方で、ナイロン主体のタフな生地を使ったラン系パンツは「軽量だが岩場・藪でも数シーズン使える」というレビューも多く、最近はラン系パンツでも、登山での酷使をある程度想定した設計が主流になりつつあると感じていました。
3. 季節適性:どのシーズンの山にマッチするのか
名前の通り「RUN」寄りのパンツなので、基本は春〜秋のアクティブシーズン向けという印象です。
ただ、前面防風+背面通気という構造のパンツは、レイヤリング次第で冬〜残雪期の一部シーンにも対応している事例があり、「1本でどこまでカバーできるのか」「冬や残雪期にもレイヤリングで使えるのか」という点も気になっていました。
この3つの不安がありつつも、「一度岩稜帯で試してみよう」と思い切って導入した、というのが購入までの流れです。
CROSS RUN PANTの基本スペックと特徴
スピードハイク向け設計のポイント
CROSS RUN PANTは、「スピードハイク/トレイルラン向けの軽量パンツ」というカテゴリーの製品です。行動中の快適性を最優先した構造になっているのが特徴で、一般的な登山パンツとは設計の出発点がかなり違います。
特徴をまとめると、次のようになります。
- 軽量で、水分を含みにくいハリのある生地
- タイトすぎないが、ばたつきの少ないスリム寄りシルエット
- 立体裁断で、膝の曲げ伸ばしや大きなストライドに対応
- トレイルランを意識した、便利なポケット配置とリフレクター
国内外のブランドで、「歩きも走りもこなす山のマルチユースパンツ」というカテゴリーが一つの潮流になっていると感じます。
前面防風+背面通気のハイブリッド構造
CROSS RUN PANTは、前面は風をしっかり防ぎ、背面は蒸れを逃がすという考え方で作られたハイブリッド構造になっています。
この構造のメリットは、
- 向かい風や稜線の風で冷えやすい太もも前面をしっかりガード
- 汗をかきやすいお尻〜太もも裏側は通気性を重視してムレを軽減
- ランニングのように「常に風を受けながら動き続ける」状況に最適化
登山に置き換えると、
- 樹林帯の登りでは背面の通気性が効いてムレにくい
- 稜線の横風・向かい風では前面の防風性が効いて冷えにくい
という形で、実際の行動パターンとよく噛み合ってくれます。
寒暖差の激しい日本の山では、特に生きる構造だと感じました。
ポケット・ディテール(スマホポケット/コインポケット/反射テープ)
CROSS RUN PANTは、ランパンらしいポケットや細かなディテールが充実しています。
- スマホ対応の縦長ポケット
太ももサイドや腰まわりにスマホを縦に収められるポケットがあり、揺れを抑えるためややタイトな作りです。フィット感が高く、岩場での動きでも邪魔になりにくいと感じました。 - コインポケット/キー用ポケット
レジ前で小銭を出しやすい位置に小ポケットがあり、カギなどの小物も収めやすい構造です。下山後の温泉やコンビニまで含めた「行動一式」をカバーしやすい作りになっています。 - 反射テープ(リフレクター)
裾やロゴ部分にリフレクターが配置されていて、夜明け前や日没後の林道歩き、車道歩きで車からの被視認性を上げてくれます。
特にスマホの収まりの良さと反射テープは、ナイトハイクや早朝スタートの山行で実用性の高さを実感しました。
フィッティングとサイズ感レビュー
普段履いている登山パンツとのサイズ比較
普段はモンベルやゴールドウィンのトレッキングパンツをMサイズで履いていますが、CROSS RUN PANTも同じMサイズで問題ありませんでした。
体感としては、
- ウエスト:モンベルのMとほぼ同等
- ヒップ:ややタイトめ
- 太もも:細すぎず、でもゆとりは少なめ
「ランパンだからワンサイズ上げないときついかも」と身構えていましたが、極端なコンプレッション感はなく、“細身の登山パンツ”くらいのフィットだと感じました。筋肉質体型の方は、ワンサイズ上げも選択肢に入れてよさそうです。
ウエスト・ヒップ・太もも周りのフィット感
- ウエスト
ドローコード付きで微調整がしやすく、ベルト不要でフィットさせられます。ザックのウエストベルトと干渉しにくい、すっきりした腰回りです。 - ヒップ
生地の伸縮性が高く、タイトめながら窮屈さはほとんどありません。岩場で腰を落として三点支持を取るときや、大股でステップを登るときでも、突っ張る感じは出にくいです。 - 太もも
「ピタッとしたスキニー」というより「やや細めのストレート」くらいのイメージです。その分、藪や岩に引っかかりにくく、足さばきもスムーズになります。太ももが太い方は、サイズ選びを少し慎重にすると安心です。
裾まわりとシューズの相性(ローカット/ミドルカット)
裾はややテーパードしていて、ローカットのトレランシューズとの相性が抜群です。足首まわりに余分なたるみが出にくく、
- 段差で裾を踏みにくい
- 岩や木の枝に引っかかりにくい
- 風でバタつかず、冷えを招きにくい
といったメリットがあります。
ミドルカットの軽量ハイキングシューズとも問題なく合わせられますが、ゴツめのアルパインブーツ+ゲイターのようなスタイルだと、パンツ側がやや軽すぎる印象になるかもしれません。ライト&ファストな靴と組み合わせたときに真価を発揮するパンツだと感じました。
実際に登山で使ってみたレビュー
使用シチュエーション(ルート・天候・装備)
テストで使った主なシチュエーションは次の通りです。
- 標高:1,500〜2,500mクラスの日本の中級山岳
- ルート:前半は樹林帯の急登、後半は岩稜帯の稜線歩き
- 天候:スタート時10〜12℃、稜線は風速5〜8m程度、晴れ時々ガス
- 装備:ローカットのトレランシューズ+軽量ザック(20〜25L)、上は薄手ベースレイヤー+軽量ソフトシェル
「汗はかくけど風は冷たい」という、まさにスピードハイク系パンツが得意とするコンディションでした。
アプローチ〜登り始め:汗ばむペースでもムレにくいか
樹林帯の登りでは意図的にペースを上げて歩きましたが、太もも裏やお尻のベタつきがかなり少ないのが印象的でした。背面の高通気生地がよく効いていて、
- じんわり汗をかいても、生地が肌に張り付く感じが少ない
- 休憩時に「冷や汗で一気に冷える」ということが起きにくい
と、登り〜小休止を繰り返す登山のリズムにしっかりついてきてくれます。
一般的なソフトシェルパンツと比べると、「汗をため込まない」方向に振った作りだと感じました。濡れた状態を長く引きずらない快適性があります。
稜線歩き:風をどれだけ防いでくれるか
稜線に出ると、それなりに強い風にさらされましたが、前面の防風性がしっかりしているおかげで、太もも前側がスースー冷えるような感覚はありませんでした。
- 歩いている間は、風で冷えるよりも運動で温まる方が勝る
- 立ち止まって写真撮影をしているときでも、「うわ、冷えるな…」と感じるまでに少し余裕がある
というレベル感です。
真冬の強風稜線ほどの状況になるとこのパンツ1本では役不足ですが、春〜秋の3シーズン稜線なら、防風性は十分だと感じました。
下山時:ストレッチ性と足さばきの印象
下山の核心は、急な下りと岩稜帯です。ここでCROSS RUN PANTの良さが一気に際立ちました。
- 大股でストライドを取っても、膝まわりにほとんど突っ張りを感じない
- ふくらはぎや裾がバタつかず、岩角に引っかかる不安が少ない
- 重心を低くして三点支持を取る動作もスムーズ
「足さばきの良さ」という言葉を、そのまま体で感じるような履き心地です。
従来の“ややゆったりした”登山パンツだと、裾の余りが岩場で気になっていた人ほど、このすっきり感は好印象だと思います。
岩稜帯で感じた「足さばきの良さ」の正体
段差の大きい岩場での膝の動かしやすさ
岩稜帯では、段差の大きいステップを連続でまたぐシーンが多くなります。ここで効いてきたのが、
- 膝周りの立体裁断
- ナイロン系のストレッチ生地
の組み合わせです。
膝を深く曲げて高い段差に足を上げたときでも、
- もも前の生地がつっぱって「これ以上上がらない」という感覚になりにくい
- 太もも〜ヒップ周りがスムーズに伸びてくれる
ので、自分の可動域いっぱいまで脚を上げやすい印象でした。
太めのパンツだと、生地の余りが膝の上にたまって動きの邪魔になることがありますが、このパンツではそれがほとんどありません。
ふくらはぎや裾のバタつき・引っかかりの少なさ
テーパードしたシルエットにより、ふくらはぎ〜裾の“バタつきの少なさ”も際立っていました。
- 崩れたガレ場で、足元の岩に裾が引っかかるリスクが低い
- 高度感のある岩場で、「裾を踏んでバランスを崩す」不安が減る
- 向かい風・横風を受けても、布があおられにくい
見た目のスリムさだけでなく、安全面での安心感にもつながるポイントです。
「走らないけど岩場で身軽に動きたい登山者」にとっては、かなり大きなメリットだと感じました。
三点支持での体重移動と、生地の追従性
岩稜帯では、手と足をしっかり使う三点支持が基本になります。このとき、股関節〜腰回りの生地の追従性が高いおかげで、
- 片足に体重を乗せたまま、反対の足を慎重に動かす
- 一度体勢を低くしてから、ぐっと立ち上がる
といった動作がとてもスムーズに行えました。
要するに、体の動きに対してパンツが「ついてくる」感覚が強いのです。
一般的な厚手の登山パンツだと、どうしても「生地に動かされている」ような感覚が出てしまうことがありますが、その差が岩稜帯での“身軽さ”につながっていると感じました。
他の登山パンツとの比較
一般的なソフトシェルパンツとの違い
ソフトシェルのトレッキングパンツと比較すると、CROSS RUN PANTは次のような性格を持っています。
- 圧倒的に軽量
- 生地の厚みはやや薄く、肌離れ重視
- 風・寒さよりも「動きやすさと通気」を優先
ソフトシェルは「少々寒くてもこれ1本あれば安心」という防風・防寒寄りの守備範囲の広さが強みですが、CROSS RUN PANTは「動く前提で快適さを追求した攻めのパンツ」といった位置づけです。
レインパンツやレインウェアと比べたときの快適性
レインパンツ(透湿防水パンツ)と比べると、快適性はCROSS RUN PANTに軍配が上がります。
- レインパンツはどうしても内部が蒸れやすく、「サウナ感」が出やすい
- CROSS RUN PANTは、前面防風+背面高通気の組み合わせで、汗をかいても逃がしてくれる
一方で、大雨やシャワークライムのような状況では、レインパンツの完全防水性能にはかないません。
小雨〜にわか雨ならCROSS RUN PANTで耐え、しっかりした雨ならレインパンツを重ねるという使い分けが現実的です。
同価格帯の登山パンツと比べた向き・不向き
同価格帯の一般的な登山パンツ(軽量トレッキングパンツや汎用ソフトシェルパンツなど)と比べると、CROSS RUN PANTは次のような棲み分けになります。
| 項目 | 向いているシーン・人 | 向いていないシーン・人 |
|---|---|---|
| 山行スタイル | 岩稜帯を含む日帰り〜1泊のライト&ファストな登山 | 真冬の低山や厳冬期の高山 |
| 装備の重さ | ローカットシューズ+軽量ザックで身軽に歩く人 | 重量級ザックを背負う長期縦走 |
| 優先したい性能 | 動きやすさ・軽さ・足さばきの良さ | 防寒性・耐久性・“1本で何でも”な万能さ |
| シルエットの好み | スリム寄り・テーパードが好き | ゆったりシルエットが好き |
従来型の登山パンツの“万能さ”と引き換えに、行動中の快適性と軽さに全振りした一本と捉えるとわかりやすいです。
季節別の使い勝手レビュー
春・秋の低山ハイクでの快適性
春・秋の低山(5〜15℃前後)では、かなり相性がよいと感じました。
- スタート直後のひんやりした空気は前面の防風でカバー
- 登りで汗ばんできても、背面の通気性でムレにくい
- 休憩時に少し肌寒く感じても、レインジャケットや薄手のシェルを羽織れば対応可能
「インナータイツなし+CROSS RUN PANT単体」で快適に過ごせるシーンが多く、低山の日帰りハイクならメインパンツとして十分活躍してくれます。
夏の高山・スピードハイクでの涼しさ
夏の高山や、標高差の大きいスピードハイクでは、このパンツの真価がさらに発揮されます。
- 高温多湿の樹林帯:背面の通気性で汗がこもりにくい
- 風の強い稜線:前面の防風で太ももが冷えすぎない
- 岩稜帯:軽さと足さばきの良さで、疲れてきた下山時も動きがスムーズ
「ショーツ+タイツ」スタイルも涼しくて快適ですが、岩場での擦れや日焼けを考えると、フルレングスでありつつ涼しいCROSS RUN PANTは非常にバランスの良い選択肢だと感じました。
冬〜残雪期に使うならどこまでいけるか(レイヤリング含む)
冬〜残雪期にCROSS RUN PANT単体で挑むのは、正直おすすめしません。
防風性はあっても保温性は限定的で、気温0℃前後・風ありの稜線では一気に冷えを感じます。
もし冬に使うなら、
- 厚手のタイツやフリースタイツを下に履く
- 上から防風性の高いレインパンツやハードシェルを重ねる
といったレイヤリングが必須です。
ただ、そこまでしてCROSS RUN PANTを使うよりは、素直に冬用のソフトシェルやインサレーション入りパンツを選んだ方が安心感は高いと感じました。
気になる耐久性とメンテナンス
岩や藪での擦れに対する強さ
数回の岩稜帯山行で使った限りでは、目立った擦り傷や生地の薄くなった部分は見られませんでした。
ナイロン主体の生地で、「軽量だが想像以上にタフ」という印象です。
とはいえ、
- 花崗岩帯で膝をつきまくる
- ハイマツやシャクナゲの濃い藪漕ぎを連発する
といった使い方をすれば、専用の厚手アルパインパンツより消耗が早いのは当然です。
「日帰り〜1泊の中級山岳」「ときどき岩稜帯」といった使い方なら、数シーズンは十分もつだろうという感触でした。
撥水の持ちと、小雨〜シャワークライムの限界
購入当初の撥水はしっかり効いており、小雨程度であれば水玉がコロコロと転がり落ちるレベルです。
ただし、これはどのパンツにもいえることですが、撥水は使用と洗濯を重ねるうちに確実に落ちていきます。
- 小雨〜霧雨:問題なく弾く
- 強めの雨:表面に水膜ができてしっとりしてくる
- シャワークライムレベル:内部まで浸水し、冷えの原因に
このあたりを超える状況では、レインパンツの出番だと割り切った方がいいです。
定期的に撥水剤でケアしてあげれば、初期性能に近い状態をある程度維持できます。
洗濯・乾きやすさ・型崩れの有無
洗濯については、
- 洗濯機でネットに入れて通常コースでOK
- 速乾性が非常に高く、部屋干しでも一晩でほぼ乾く
- 乾いたあとのゴワつきや型崩れはほとんどなし
という扱いやすさでした。
保水しにくいハリのある素材のおかげで、「山から帰って洗って干して、翌日またすぐ使える」手軽さはかなりの強みです。軽量速乾・イージーケアなパンツを長く使い込むこと自体が、一つのサステナブルな選択ともいえます。
CROSS RUN PANTが向いている登山スタイル・向いていない登山スタイル
向いている人:こんな登山者には「買い」
CROSS RUN PANTが刺さるのは、次のような登山者だと感じました。
- 岩稜帯を含む日帰り〜1泊の中級山岳がメインの人
- 走らないけれど、歩くペースは比較的速い「スピードハイク寄り」のスタイルの人
- 重装備の縦走より、軽量ザック+ローカットシューズで身軽に動きたい人
- 夏〜秋の高山帯で、涼しさと足さばきの良さを最優先したい人
- 下山時に脚が疲れやすく、少しでも動きやすいパンツが欲しい人
- ライト&ファスト系パンツが気になっていた人
タイムを競うレベルではないけれど、「ライト&ファスト寄りの登山」が好きな人にとって、かなり“買い”な一本だと思います。
トレイルランと登山の境界をいい意味で曖昧にしてくれるパンツなので、「いつかスピードハイクもやってみたい」という人の入門にも向いています。
向いていない人:こんな使い方なら別モデルを選んだ方がいい
逆に、次のようなスタイルがメインの人には、別のパンツをおすすめします。
- 厳冬期の雪山登山をメインにする人
→ 防風・保温を優先したソフトシェルパンツの方が安心です。 - 重量級ザックを背負っての長期縦走が多い人
→ 生地のタフさ・防寒性・汎用性を優先して、やや厚手のトレッキングパンツを選んだ方が無難です。 - ゆったりしたシルエットが好みで、タイトめのパンツが苦手な人
→ CROSS RUN PANTはスリム寄りなので、リラックスした履き心地を求めるなら別モデルの方が快適です。 - 「レインパンツなしで、1本でどんな天候も乗り切りたい」という人
→ 完全防水ではないため、豪雨前提なら素直にレインパンツとの併用を前提にした方が安心です。
「走らないけど登山で履く」はアリかナシか(総括)
結論として、「走らないけど登山でCROSS RUN PANTを履く」のは“かなりアリ”だと感じました。
- 前面防風+背面通気のハイブリッド構造が、春〜秋の山のコンディションにマッチする
- 軽さと足さばきの良さが、特に岩稜帯や急な下りで真価を発揮する
- ランナー向けのポケット設計が、登山でも意外なほど使いやすい
- 「行動中の快適性」を徹底的に優先した設計思想が、ライト&ファスト志向の登山スタイルとよく噛み合う
一方で、
- 冬山のメインパンツとしては力不足
- 完全防水ではないので、大雨やシャワークライムには不向き
- 細身シルエットが好みに合わない人もいる
- 厚手アルパインパンツほどの耐久・保温といった“万能感”はない
という割り切りは必要です。
「がっつり走るわけではないけれど、山ではできるだけ軽快に、ストレスなく動きたい」。
そんな“歩く派”の登山者にこそ、CROSS RUN PANTは一度試してみてほしいパンツです。岩稜帯で一歩踏み出した瞬間、「あ、これは普通の登山パンツとはちょっと違うな」と感じるはずです。
“走らない登山者が恩恵を受けられるラン系パンツ”として、選択肢に入れておく価値は十分にあります。
CROSS RUN PANTは、名前こそランナー向けですが、実際に山で履いてみると「走らない登山者」にこそハマる一本だと感じました。前面防風+背面通気のバランスがよく、春〜秋の「汗をかきつつ風で冷える」場面でほどよい快適さを保ってくれます。とくに岩稜帯や急な下りでは、軽さとストレッチ性、テーパードしたシルエットが効いて、足を高く上げる動きや三点支持での体重移動が驚くほどスムーズでした。一方で、真冬や長期縦走、厚手アルパインパンツのような万能さを求める使い方には向きません。ローカットシューズ+軽量ザックで、できるだけ身軽に歩きたい人。岩場での足さばきにストレスを抱えている人。そんな「歩く派」の登山者が、次の一本として検討する価値のあるパンツだと思います。