EXPED「クラウドバースト」を登山で使ってみた感想【レビュー概要】
なぜアタックザックに「クラウドバースト」を選んだのか
軽量で、かつ完全防水をうたっている点が最大の理由です。日帰りピークハントや沢登りでは、急な豪雨や水浸しになる場面が多く、レインカバーいらずの安心感を求めて選びました。見た目もシンプルで余計な装飾がなく、身軽に動けるのも魅力です。
EXPEDはスイス発のブランドで、寝袋やマットなど「濡らしたくないギア」を多く手がけています。防水系のノウハウへの信頼感があったことも、クラウドバーストを選んだ理由のひとつです。
購入前に気になっていたポイントと比較候補
購入前に気になっていたのは「本当に完全防水なのか」「背負い心地はどうか」「容量の使い勝手」の3点でした。
比較候補は、オスプレーなど一般的な25Lクラスのデイパック、ウルトラライト系の薄手ザック、ミレーやMountain Hardwearの同クラスモデルです。最終的には、防水性と耐候性を優先してクラウドバーストを選びました。
同じ軽量系でも、ウルトラライト専用ブランドのザックは「とにかく軽いが、防水はザックカバー頼み」というものが多いと感じました。その点クラウドバーストは、生地自体の耐水性とシンプルな構造で差別化されている印象です。
EXPED クラウドバーストの基本スペックと特徴
容量・重量・サイズ感
使用しているのは25L前後のモデルです。重量はおよそ500〜700gと軽く、アタックザックとして十分なサイズ感だと感じています。荷物をコンパクトにまとめることで、身体の動きを妨げにくいのもメリットです。
フレームレス(もしくはごく簡易的なフレームのみ)の構造なので、パッキング次第で背面の当たり具合が変わりますが、そのぶん軽量で、テント泊装備に添える「アタック用サブザック」としても収まりやすいボリューム感です。
素材と完全防水仕様の仕組み
Ripstop系ナイロンにPUコーティングやシームテープを施し、縫い目からの浸水を防ぐ設計になっています。ロールトップ構造と組み合わせることで水が入りにくく、短時間の水没や豪雨でも中身をしっかり守ってくれます。
底面や要所はやや厚めの生地で補強されており、軽量ながら岩や枝との擦れにもある程度耐えられるバランスです。防水性を優先しているため、一般的な通気メッシュ背面ではなく「防水生地+必要最低限のクッション」という割り切った構造になっています。
ロールトップ構造とシンプルなデザイン
ロールトップは容量調整がしやすく、余計なジッパーや留め具がないぶん、劣化しやすいパーツが少ないのが利点です。デザインも無駄がなく、山行中に余計なことを気にせず行動に集中できます。
ザック外側のストラップやループ類も最小限で、トレッキングポールや軽量マットを括り付ける程度。ジッパー付きポケットが少ない代わりに、「軽量・防水・トラブルレス」というメリットを優先したつくりになっています。
カラー展開と見た目の印象
カラーは派手すぎないアースカラー中心で、落ち着いた印象です。視認性を重視したい方は、明るい色を選ぶと安心感があります。
EXPEDらしいシンプルなロゴとワンポイントの配色のみで、街使いでも浮きにくいデザインです。山で写真を撮ったときも主張しすぎず、ウェアの色を選ばない点も好印象でした。
「完全防水」の実力は本物?急な雨で徹底チェック
梅雨〜夏山のゲリラ豪雨で試した結果
梅雨〜夏山シーズンの短時間〜中程度の豪雨では、内部はほぼドライを維持できました。浸水はほとんど感じられず、レインカバーを出す手間が省けるため、行動そのものがかなり楽になります。
風雨が強い稜線上でも、ロールトップを2〜3回しっかり巻いて閉じておけば、ザック本体の生地が水を吸って重くなる感覚が少なく、行動中のストレスが大きく減りました。
レインカバーなしでどこまで防げるか
常に完全に防いでくれるわけではありません。長時間の滝直下や完全水没の状態では、シームやロールトップの隙間からじわじわと浸水してくることがあります。とはいえ、通常の雨中行動や泥はね程度であれば十分にカバーできます。
「レインカバーの付け外しがストレス」「風でカバーが飛ぶのが嫌」という方には、雨天行動のストレスを大きく減らしてくれるレベルの防水性だと感じました。
中身が濡れないためのパッキング工夫
貴重品や衣類など絶対に濡らしたくないものは、念のためドライバッグや防水スタッフサックに入れておくようにしています。スマホや財布は、ヒップベルトポケットに入れつつ、ジッパー式の防水袋を併用するとより安心です。
濡れたレインウェアや沢登り後のギアは、メイン気室にそのまま戻さず、サイドのメッシュポケットや防水スタッフサックに分けて収納しています。こうすることで、ザック内部の結露や湿気も抑えやすくなります。
沢登りでの使用感:水に濡れるシーンでの安心感
沢沿いのアプローチ〜遡行でのメリット
沢沿いのアプローチや遡行では、「濡れても中身が守られている」という安心感が非常に大きいです。ザックが水を含まず軽さを保ってくれるため、両手を使う場面でも動きやすさが向上しました。
一般的な布帛のザックだと、一度びしょ濡れになると乾きにくく、冷えや重さの原因になりがちです。クラウドバーストは生地自体が水を含みにくいため、休憩時も身体が冷えにくく感じました。
荷物を水に浸けざるを得ない状況でどうだったか
浅い水没や短時間の浸漬であれば、内部は問題なく守られていました。一方で、完全に沈めてしまうような状況は避けた方が無難です。重要な装備や貴重品は、個別にしっかり防水処置をしておくことをおすすめします。
また、ロールトップの巻きが甘いと、想像以上に水が入りやすくなります。沢に入る前に「空気をしっかり抜いて、きつめにロールする」癖をつけておくと、失敗しにくいと感じました。
乾きやすさとメンテナンスのしやすさ
内部は張りのある素材で水切れがよく、帰宅後に裏返して陰干しすれば比較的早く乾きます。泥や藻が付着した場合は、水で洗い流し、長時間直射日光に当てないようにするのがコツです。
PUコーティングの劣化を防ぐためにも、洗剤の使用はできるだけ避け、ぬるま湯でやさしく洗い流す程度にとどめると、防水性を長持ちさせやすいと感じました。
アタックザックとしての使い勝手
日帰り登山・ピークハントでの容量感
25L程度あれば、行動食、薄手のレインウェア、水1L、カメラ、軽量な装備が問題なく収まります。余裕はそれほど大きくないため、荷物をしっかり絞る登山スタイルに向いています。
ウルトラライト寄りの装備構成であれば、3シーズンの日帰り〜軽めの山小屋泊くらいまで対応可能です。「持てるだけ持っていく」というより、「必要なものだけに絞る」スタイルと相性が良いと感じました。
行動中の出し入れのしやすさ
ロールトップは開閉が素早くでき、トップからのアクセス性は良好です。サイドの伸縮ポケットは、水筒や小物の取り出しに便利でした。
メイン気室は1室構造ですが、パッキングの順番だけ意識しておけば、山頂直下でレインウェアだけをサッと取り出すといった動きもスムーズにこなせます。
サイドポケット・ヒップベルト周りの使い心地
伸縮性のあるメッシュサイドポケットは、濡れ物の保持にも向いています。ヒップベルトのジッパーポケットは、行動食やスマホのクイックアクセスにとても重宝しました。
ストックや折りたたみ傘など「濡れていても構わないもの」はサイドメッシュにまとめておけば、メイン気室を常にドライに保ちやすい構成になっています。
背負い心地とフィット感(長時間行動での疲れ方)
軽量で、ショルダーとヒップベルトの調整幅も十分にあり、荷物量が適正なら安定感は良好です。ただし、フレームがないぶん荷重が大きくなると疲れを感じやすく、10kg前後を頻繁に運ぶ用途ならフレーム入りのザックの方が向いていると感じました。
一方で、5〜7kg程度の荷物量であれば、肩と腰にうまく荷重が分散され、日帰り縦走でも大きな疲労は感じませんでした。女性向けや短めトルソー向けサイズもあり、体格に合わせて選べばフィット感はかなり良好です。
他の登山用ザックとの比較
一般的な25L前後のデイパックとの違い
一般的なデイパックはジッパーアクセスや多機能ポケットが充実している一方、防水性能はクラウドバーストの方が勝ります。逆に、細かい仕分けや頻繁な出し入れのしやすさでは、一般的なデイパックに分があります。
背面クッションや通気パネルも、一般的デイパックの方が快適なことが多いと感じます。「快適性と多機能」を取るか、「軽さと防水性」を取るかで、選ぶモデルが分かれる印象です。
軽量ウルトラライト系ザックとの比較
ウルトラライト系ザックはさらに軽量である反面、防水性や耐久性で劣る場合が多いです。クラウドバーストはその中間に位置し、「軽さ+防水性」の両立が強みだと感じます。
Dyneema系の超軽量ドライバッグザックと比べると、数十グラム〜100gほど重くなる代わりに、価格が抑えめで扱いやすく、岩や枝への耐摩耗性も現実的な範囲に収まっています。
レインカバー必須ザックとの「安心感」の差
レインカバーをその都度出し入れする手間や、装着忘れのリスクがなく、豪雨時の心理的な安心感ははっきりと違います。
特に、午後の雷雨が読みにくい夏山や、天気が変わりやすいアルプス・八ヶ岳エリアなどでは、「降ってきたらそのまま歩き続けられる」というメリットが、行動計画の自由度を高めてくれます。
クラウドバーストのメリット・デメリット
特に気に入っているポイント
完全防水に近い安心感、軽さ、シンプルなロールトップ構造、ヒップポケットの使い勝手の良さは特に気に入っている点です。
フレームレスでありながら、必要最低限のクッションと調整機能は備えており、「ウルトラライトすぎて不安」という方にとっても、ちょうどよい落としどころになっていると感じます。
正直イマイチだと感じた点
容量に限界があること、過度な水没に対しては弱いこと、長時間の重荷では疲れやすいことはデメリットだと感じました。中古品の場合は、変色や汚れが目立ちやすい点も気になります。
PUコーティングやシームテープの経年劣化は避けられないため、「何年もガシガシ酷使するメインザック」というよりは、「防水性を重視したサブ〜アタック用」と割り切って使う方が満足度は高いと感じました。
向いている登山スタイル/向いていない使い方
向いているのは、日帰り登山、ピークハント、沢登り、雨が多い山行です。
向いていないのは、長期テント泊で大荷物を運ぶ縦走や、本格的なアルパインのハードな岩場です。
岩稜帯メインのバリエーションルートや、アイゼン・ピッケルが常時ザックに当たるような行程では、生地ダメージが気になりやすいため、よりタフなモデルを選んだ方が安心です。
サイズ選び・モデル選びのポイント
日帰り・テント泊・沢登りでのおすすめ容量
日帰り登山や沢登りには、25L前後のモデルがおすすめです。1泊以上で装備が増える場合は、35〜45Lクラスのモデルを検討すると安心です。
UL寄りに装備を絞れる方であれば、夏の小屋泊程度まで25Lクラスで収めることも可能です。ただしビギナーの方や、防寒装備が増える季節には、余裕を持って上の容量を選んだ方がパッキングもしやすいと思います。
体格別のフィット感の目安
ショルダーやヒップベルトの調整幅は広めですが、短めトルソー向けにウィメンズやSサイズが合う方もいます。可能であれば試着して、動いたときのフィット感を確認するのが一番です。
特にヒップベルトの位置が合わないと荷重が肩に偏り、疲れやすくなります。「ウエスト〜骨盤まわりにしっかり乗るか」をチェックポイントにして選ぶと、失敗しにくいと感じました。
こんな人にはクラウドバーストがおすすめ
雨に弱い装備を持ち歩くことが多い方、行動の機動性を重視したい方、沢登りや雨天が多いフィールドに行く方には特におすすめです。
また、中古市場も視野に入れつつ「軽量で、そこそこタフな防水ザックをリーズナブルに試したい」という方にも向いているモデルだと思います。
パッキング例:実際の装備リストと入れ方
日帰り登山(3シーズン)の装備と収納イメージ
- トップ付近:行動食、地図、グローブ
- メイン気室中央:軽量レインウェア、フリース、ファーストエイドキット
- 底付近:予備食、ツェルト
- サイドポケット:水筒、トレッキングポールホルダー
- ヒップポケット:スマホ、行動食
重いもの・硬いものは背面側の中央に寄せ、衣類など柔らかいものを背中側と外側に挟むようにパッキングすると、フレームレスでも背負い心地が安定しやすいです。
沢登り仕様の装備と防水の工夫
貴重品はすべてドライバッグに入れます。濡れても良いタオルや着替えは外側のポケットへ。カメラは防水ハウジングを併用しています。
ロープやヘルメットなど、濡れても構わない大型装備は、ロールトップを閉じた上から外付けストラップで固定することで、ザック内部のスペースとドライな環境を確保しやすくなります。
雨予報のときに優先して入れているもの
雨予報のときは、スマホ用の防水ケース、替えのソックス、ビニール袋、軽量の避難用ポンチョ、予備の行動食を優先して入れています。
ザック内に薄手のゴミ袋を1〜2枚入れておくと、思わぬ浸水時の「緊急インナーバッグ」としても使えるので便利です。
中古・入手性・価格について
新品が手に入りにくい理由と現状
生産終了やモデルチェンジの影響で、新品在庫が少ないタイミングがあります。そのため、欲しい色やサイズは流通量が限られがちです。
国内正規流通では在庫が切れ、中古ショップやフリマアプリ、楽天・Yahoo!ショッピング上の並行輸入品・旧モデルが中心になることも多く、タイミングによって価格が変動しやすい状況です。
中古で探すときのチェックポイント
中古で探す場合は、以下の点を必ずチェックするようにしています。
| チェック項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| シームテープ | 剥がれ・浮き・ひび割れの有無 |
| PUコーティング | 白化・ベタつき・ひび割れ |
| ロールトップ&ベルト | 巻き部分のヨレ、バックルの欠け |
| ヒップベルト | 汗ジミ、臭い、クッションのヘタリ |
| 底面 | 擦り切れ、穴、極端な薄さ |
| サイドメッシュ | 破れ・大きな伸び・穴 |
特に底面とサイドメッシュの状態は実用性に直結します。写真でよく確認し、可能であれば「内側のベタつきの有無」も問い合わせておくと安心です。
コスパの観点から見た「買いかどうか」
防水性能と軽さを重視するなら、十分に「買い」だと感じています。新品価格が高めに感じる場合でも、中古で状態の良いものが見つかれば価値は高いです。
相場としては新品で2万円クラスの性能なので、状態の良い中古を5,000円前後で入手できれば、コスパの高い防水アタックザックと言えると思います。
よくある疑問と使用者目線の回答
「本当にレインカバーいらない?」という疑問について
普段の雨や短時間の豪雨であれば、基本的にレインカバーは不要と感じています。ただし、長時間の滝下や完全に沈没するリスクがある行程では、ドライバッグを併用するのが安全です。
「ザック自体はレインカバーいらず、しかし中身の要所は個別防水」という二段構えにしておくと、クラウドバーストの良さを最大限活かしつつ、リスクも抑えられます。
耐久性はどれくらい持つのか
使用頻度やフィールドにもよりますが、岩稜や激しい擦れが少ない使い方であれば、数年〜数シーズンは問題なく使える感覚です。荒い使い方をすると、どこかのタイミングで補修が必要になると思います。
PUコーティングやシームテープの寿命はどうしてもあるため、沢登りや岩場で酷使する場合は「数シーズン使い切る消耗品」と割り切るか、サブ用途に回してメインザックと使い分けるのがおすすめです。
冬山やアルパインでも使える?用途の限界ライン
防水性は冬山やアルパインでも頼りになりますが、重荷や鋭利な岩・アイゼンとの接触には強くありません。本格的な冬山やアルパインでは、補強があるモデルや別モデルの方が安心です。
冬期は防寒着や装備が増えて荷重もかさむため、フレーム入りの40〜50Lクラスと併用し、「冬のアタック用サブザック」として限定的に使うくらいが、現実的な落としどころだと感じました。
まとめ:クラウドバーストはどんな登山者に向くザックか
クラウドバーストは、「濡らしたくない荷物を軽く背負って動き回りたい」というニーズに、かなりストレートに応えてくれるザックだと感じました。レインカバー前提の一般的なデイパックよりも、雨や水しぶきのストレスがぐっと減り、特に梅雨〜夏山、沢登りシーズンの安心感は段違いです。
一方で、フレームレスゆえの背負い心地の限界や、容量・耐久性にまつわる割り切りも必要になります。「たくさん詰めて何でもこなす一張羅」ではなく、「荷物を絞った日帰り〜短め山行や沢のアタック用」として使うと、ちょうどツボにハマる印象でした。
- 雨でもレインカバーを出し入れせずに歩き続けたい
- 濡れやすいフィールドに行くことが多い
- ウルトラライトすぎるザックには少し不安がある
こうした条件に当てはまる方にとって、クラウドバーストは心強い相棒になってくれます。逆に、重荷での縦走や岩稜メインのアルパイン装備を想定している場合は、よりタフでフレーム入りのモデルを選んだ方が安心です。
自分の山行スタイルとよく照らし合わせつつ、「雨・水濡れのストレスをどこまで減らしたいか」を軸に考えると、クラウドバーストが手持ちのザックラインナップの中でどんな役割を担ってくれるか、イメージしやすくなると思います。