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結露ゼロを目指して。ゼログラムのシュラフが提案する「濡れに強いダウン」の実力をテント泊で検証。

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「軽くしたい。でも妥協はしたくない」登山者に向けたZEROGRAM Lost Creek LT 45レビュー

「テント泊装備を軽くしたい。でも背負い心地や扱いやすさは妥協したくない」──そんな欲張りな登山者にとって、ZEROGRAMのLost Creek LTは気になる存在ではないでしょうか。
軽量ザックは各社から出ていますが、日本人の体格や日本の山のコンディションまで細かく想定して作られたモデルは、それほど多くありません。

本記事では、ZEROGRAMが掲げるコンセプト「Go Light Get More」や、濡れに強い撥水ダウンシュラフとあわせて、Lost Creek LT 45を実際の登山で使った印象をレビューしていきます。
1泊2日のテント泊をイメージしながら、

  • どれくらいの荷物が入るのか
  • 登り下りで背中にどう感じるのか
  • 他ブランドの軽量ザックとどこが違うのか

といったポイントを、購入を検討している方の目線で掘り下げます。ZEROGRAMで装備をそろえたい方の、具体的なイメージづくりのヒントになれば幸いです。

ZEROGRAMとは?「Go Light Get More」に込められた思想

ZEROGRAM(ゼログラム)は、「Go Light Get More(軽くして、もっと多くを得る)」をコンセプトに掲げる日本発のアウトドアブランドです。
軽量・コンパクトでありつつ、実際の山行で必要な使い勝手や耐久性は削らない、そのバランス感覚が特徴です。UL志向の流れのなかで登場し、日本の山岳環境や日本人・アジア人の体型を前提に設計されたギアを展開しています。

テントやシュラフ(寝袋)、バックパックなど、「山の一泊二日〜縦走」を支えるギアが一通りそろっていて、どのアイテムにも共通する思想があります。

  • できるだけ軽くする(UL寄りの設計)
  • でも日本人の体型や日本の山に合う実用性は妥協しない
  • リサイクルナイロンなど、環境への配慮も重視する

この記事のテーマである「濡れに強いダウンシュラフ」も、その思想から生まれたものです。
結露が避けられないテント泊で、いかに快適に・安全に眠れるか。その一点に、ゼログラムはこだわっています。

ゼログラムのバックパックを代表するモデルが「Lost Creek LT 45」です。45〜54Lクラスのロールトップザックで、日本人の体型に合わせた背負い心地と、Tフレームによる荷重分散が特徴です。
Robic Recycle Ripstop Nylon X‑gridといったリサイクル系の高強度リップストップナイロンを使い、ボディ約820g・フレーム込み総重量約1,153gという、「軽量クラスのなかで、機能を削りすぎない絶妙な落としどころ」を狙ったモデルでもあります。
このザックとシュラフ、そしてテントをセットで使うことで、軽さと快適さを両立させるのが、ゼログラム流といえます。


濡れに強いダウンとは?ZEROGRAMシュラフのテクノロジー

撥水ダウン・シェル素材・構造のポイント

ゼログラムは「濡れに強いダウン」という考え方でシュラフを設計しています。
モデルごとに細かな仕様は異なりますが、狙っている方向性は共通しています。

撥水ダウンの採用

ダウン一粒一粒に撥水加工を施すことで、水分を含みにくくし、含んでしまっても乾きやすくしています。

  • 結露が垂れてきても、ダウンが水を吸ってペシャンコになりにくい
  • 朝方に湿っても、日中の行動中に回復しやすい

シェル素材の耐水性・撥水性

シュラフの外側生地には、軽量でありつつ、適度な耐水性・撥水性を備えたナイロンが使われます。
ゼログラムはバックパックにもRobic Recycle Ripstop Nylon X‑gridなどのリサイクル系高強度ナイロンを採用しており、軽さと耐久性、防滴性のバランスを重視するブランドです。シュラフも同様に、

  • テント内の水滴をはじく
  • 多少の濡れなら、生地表面でとどめて中まで浸透させない

といった方向で作り込まれています。

構造上の工夫(ボックス構造・コールドスポット対策)

ダウンが一箇所に偏りにくいようなキルト構造や、体の冷えやすい部分に多めにダウンを配置するなど、「保温性の落ち込み」を防ぐ工夫もされています。
結露で多少ダウンがふやけても、すぐに致命的な寒さにつながりにくいよう調整されているイメージです。

軽さ・耐久性・保温性のバランス設計

濡れに強いダウンを目指すと、どうしても重くてゴツい方向に振れがちです。
そこでゼログラムが狙っているのは、次のようなバランスです。

  • 軽さ:UL寄りのハイカーでも納得できる重量
  • 耐久性:岩場やザックへの出し入れを想定し、現場で“気を使いすぎなくていい”強度
  • 保温性:日本の春〜秋、冬山手前くらいまでを無理なくカバーする設計

この「軽量だけど使える」ちょうどよさは、テントやザックにも共通するゼログラムらしさです。
テントもZERO1 ProやEl Chaltenシリーズのように、日本の山の3シーズン縦走を意識した軽量モデルが中心で、「軽さだけに振り切らず、山での居住性や耐候性も確保する」という一貫した思想が見てとれます。

この「軽さと耐久性の中庸」をしっかり受け止めてくれるのが、Lost Creek LT 45のような軽量バックパックです。
シュラフ単体を軽くしても、ザックが重くて背負いづらければ意味がありません。その点、Lost Creek LTはボディ約820g・トータル1,153gと軽量クラスに入りつつ、Tフレームが荷物全体を支えてくれます。


1泊2日のテント泊で検証:ZEROGRAM装備の山行イメージ

Lost Creek LT 45とシュラフを軸にした装備リスト

1泊2日のテント泊を想定した装備イメージは、次のとおりです。

  • ザック:ZEROGRAM Lost Creek LT 45(45〜54L)
  • シュラフ:ゼログラムの撥水ダウンシュラフ(3シーズン想定)
  • テント:ゼログラムの1人用テント(ZERO1 ProやEl Chalten 1P/1.5Pなど)
  • スリーピングマット:3シーズン用インフレータブルまたはクローズドセル
  • クッカー・バーナー・ガス缶・食料1泊分
  • 防寒着:軽量ダウンジャケット+フリース
  • レインウェア・替えソックス・小物(ヘッドライト、ファーストエイドなど)

これらをすべてLost Creek LT 45に収めて歩く想定です。
容量45Lクラスでも、UL寄りのギアと組み合わせれば、1泊2日のテント泊装備は十分に収まるボリュームです。ゼログラム自身も、Lost Creek LTを

  • 日帰り〜数泊の縦走
  • 飛行機遠征での機内持ち込み

を想定したモデルとして位置づけており、このくらいの装備量は想定内の使い方といえます。


ZEROGRAM Lost Creek LT 45を登山で使ってみたレビュー

背負い心地とフィット感:日本人体型向け設計は本当か

Lost Creek LT 45は背面長48cm固定で、日本人を含むアジア人の体型を想定したフィッティングが特徴とされています。
実際に背負ってみると、

  • 身長160〜175cmくらいの方には、かなりしっくり来る
  • 肩ベルトのカーブが、日本人の肩幅・肩の丸みに合いやすい
  • ヒップベルトも、腰骨の上にしっかり乗せやすい

と感じる方が多いはずです。

一方で、180cmを大きく超えるような高身長の方だと、「もう少し背面長が欲しい」「腰で支える位置がやや上にくる」と感じる可能性があります。
背面長が調整式ではないのはデメリットですが、その分、構造がシンプルで軽量にまとまっているともいえます。国内のレビューでも、

「超軽量ザックほどシビアな扱いが要らず、それでいて1kg強に収まっている“ちょうど良さ”」

が評価されることが多いクラスです。

Tフレームの効果:登り・下り・トラバースでの違い

Lost Creek LT 45の大きな特徴が、内部に仕込まれた「Tフレーム」です。
T字型のフレームが荷重を腰に伝えつつ、パック全体のねじれや揺れを抑えてくれます。

シーン 感じた特徴
登り テント泊装備で10kg前後を背負っても、腰で支える感覚がはっきり。肩だけで背負う感じが少なく、肩の食い込みが抑えられる。
下り 段差を降りるときやガレ場の下りでも、ザックが左右に振られにくく、足運びに集中しやすい。
トラバース 山腹のトラバースでも、パックが外側に倒れこむ感覚が減り、バランスを取りやすい。

Tフレームは取り外し可能なので、

  • もっと軽くしたい
  • 荷物が少ない日はフレームレスで行動したい

といった使い方もできます。
とはいえ、テント泊で10kg前後を運ぶなら、フレームを入れておいた方が圧倒的に快適です。メーカー側も「長距離トレイルでの揺れ抑制と腰荷重化」をうたっており、撥水ダウンシュラフやテントを含めたフル装備運搬時にこそ性能を発揮します。

ロールトップ&フルオープン構造の使い勝手

ロールトップ構造は、容量調整と防水性の面で大きなメリットがあります。

  • 荷物が少ない日帰り寄りの装備なら、ロールを多めに巻いてコンパクトに
  • テント泊フル装備なら、ロールを少なめにして54L近くまで拡張

サイドのフルオープンジッパーは、テント場で真価を発揮します。

  • テント設営時:ザックを横に置いたまま、テント本体・ペグ・ポールを一気に取り出せる。
  • 撤収時:シュラフやマットを最後に片付けたいときも、ザックの下の方からスムーズにアクセスできる。

テントの前室が狭くても、ザック全体をひっくり返さずに中身を出し入れできるので、雨の日や、泥で汚れたくないときにも便利です。
止水ジッパー仕様のため、小雨や結露で濡れたテント場でも、メイン気室内に水が入りにくい構造になっているのも心強いポイントです。


ZEROGRAM Lost Creek LT 45が向いている登山スタイル

相性の良いシーン:テント泊・縦走・遠征・機内持ち込み旅

Lost Creek LT 45が特にハマるのは、次のようなスタイルです。

  • 1〜2泊のテント泊登山(UL寄り装備)
  • 数泊の山小屋泊+軽量テント泊ミックス
  • 飛行機での遠征登山(機内持ち込み手荷物としても使いやすいサイズ感)
  • バイク旅+軽量キャンプ(コンパクトさと軽さが生きるスタイル)

Tフレームによる揺れの少なさと、日本人体型に合わせた背負いやすさで、「長く歩くほど違いが出る」タイプのザックです。
撥水ダウンシュラフとの組み合わせなら、雨がちの山域でも装備全体の安心感を高めてくれます。

ブランドのイベントや遠征レポートでも、Lost Creek LTにテント(El Chalten PRO DACなど)とダウンウェア、クッカー類をまとめて機内持ち込みし、そのままトレイルに出るような使い方が紹介されており、「飛行機+山」をセットで考えるハイカーとの相性も良好です。

向いていないケース:荷物量・体格・季節の注意点

一方で、次のようなケースでは、別の選択肢も検討した方が安心です。

  • 3泊以上の縦走で、かつ装備がUL寄りではない場合
    → 45Lでは容量・重量的に厳しくなることがあります。
  • 真冬の本格的な雪山テント泊
    → 厚手のシュラフや大量の防寒着、食料などで、明らかに容量オーバー気味になります。
  • 身長がかなり高い方(180cm後半〜)
    → 背面長48cm固定が合わない可能性があります。試着をおすすめします。

また、モデルによってはレインカバーが付属しない、あるいは販売店ごとの表記に違いがある場合があります。悪天候前提の山行が多い方は、別途パックライナーやレインカバーを組み合わせる前提で考えておくと安心です。

他ブランドの軽量ザックと比べたときの特徴

他の軽量ザックと比較するとき、注目したいポイントは次のとおりです。

  • 重量:最軽量クラスのザックと比べると若干重めだが、そのぶんTフレームのサポートがある
  • 背面長の調整:可変式ではなく固定。軽量化とシンプルさを優先した設計
  • 素材:Robic系リップストップナイロンで、軽さと耐摩耗性のバランスを狙っている
  • フィット感:日本人向けのショルダー・ウエスト設計が特徴

「とにかく最軽量を狙うULザック」と比べると、Lost Creek LTは“ややしっかりめ”な軽量ザックという立ち位置です。テント泊の実用性を重視する方には、ちょうど良いバランスだと感じられるはずです。
同容量帯には、フレームレスで500g前後の超ULザックから、より厚手生地+可変背面で900〜1,100gクラスのモデルまで幅広くありますが、その中でLost Creek LTは、

「1,153gでTフレーム+フルオープン+日本人体型設計」

という組み合わせが差別化ポイントになっています。


シュラフとザックをセットで選ぶときのポイント

テント・マット・ウェアまで含めたZEROGRAMエコシステム

ゼログラムで装備をそろえると、次のような「エコシステム」が組めます。

  • テント:軽量ソロテント(ZERO1 ProやEl Chaltenシリーズなど)
  • シュラフ:撥水ダウンシュラフ
  • ザック:Lost Creek LT 45
  • マット:軽量スリーピングマット
  • ウェア:軽量ダウンジャケットやフリース(Ramona Zerolight JacketやHitoFleece Hoodなど)

これらを組み合わせることで、

  • 総重量を抑えつつ、テント泊での結露リスクを低減できる
  • すべてのギアが「軽さと実用性のバランス」「日本の山でのリアルな使い勝手」を意識して設計されているため、持ち物全体として無理がない
  • 同ブランド内でサイズ感や収納性がチューニングされており、Lost Creek LTの45〜54L容量にテント・シュラフ・ウェアがすっきり収まりやすい

というセットアップを実現できます。

ブランドとしても、テント・ザック・シュラフ・ポール・小物類を組み合わせた「トータル軽量システム」としての提案を強めています。
単品買いではなく、“山行スタイルごと”のパッケージで選ぶことで、ゼログラムの良さがより分かりやすくなるはずです。

ゼログラムの装備一式でテント泊を組むと、「軽さ」と「現場での安心感」のバランスが取りやすくなります。撥水ダウンシュラフは、避けきれない結露のなかでもふくらみを保ちやすく、冷えによるストレスをかなり減らしてくれます。そこに、Tフレーム入りで背負い心地に配慮したLost Creek LT 45、3シーズンの日本の山をリアルに想定したテントが組み合わさることで、「背負って歩く〜眠る」までの流れがスムーズにつながる印象でした。

もっと軽いザックや、もっと厚手のシュラフを単品で選ぶ道もありますが、「日本の山で1〜2泊のテント泊を気持ちよくこなしたい」という前提なら、このバランス感覚はかなり現実的です。装備の軽量化を考えつつ、結露や悪天候にも備えたい方は、ゼログラムでザックとシュラフをセットで見比べながら、自分の山行スタイルに合う組み合わせをイメージしてみてください。

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